八ヶ岳田舎暮らしの豊かさ「素晴らしい人達との出会いと別れを思う」

 

皆さまこんにちは、八ヶ岳エリアコーディネーターの山田です。

関東甲信越は梅雨明けを迎え、猛暑日の毎日、暑さで有名な

山梨県甲府市は連日35℃を越える猛暑、防災無線で熱中症を

注意するアナウンスが流れます。

実は山梨県で日本で一番高温になる地域が二つあります、

一つは甲府市そしてもう一つは甲州市勝沼町なのです。

今現在（6月28日15：00）の二地点の気温を見てみると、

甲府市は36.3℃、甲州市勝沼は37.4℃！最高気温

だけのデータだと甲府市が暑いと云われますが、

時間時点での観測データはそれぞれの地点で

考えられない高温です。同じ時点気温を東京で

見ると35.1℃、埼玉県熊谷市で37.1℃、各地で

例年をかなり上回る気温となっています。

 

東京ですと練馬、青梅、府中、八王子が最高気温を

記録しやすく、山梨県ですと先ほどの甲府市、甲州市

勝沼町、韮崎市が高温になりやすいエリアです。

これは俗に云う地形形状が盆地だからと云われますが、

グーグルアースで見て頂くと一目瞭然ですが山梨県全域が

森林（山岳）で覆われており、県土の約78パーセントが

山岳で、居住可能な地域が丁度山梨県の地形中心部にあたり、

甲府市、甲州市勝沼町、韮崎市更には昭和町、甲斐市、

中央市に県人口が密集し市街地を形成しています。

 

山梨県下のリゾートエリアである、富士河口湖山中湖周辺、

北杜市八ヶ岳南麓の標高800ｍ以上の地域では市街地と比較して

平均6℃以上の気温差があります。高標高エリアと市街地の気温差の

主な原因として、降水量、日照時間、風の強弱や、乾燥があります。

例えば、最高気温で云うと、北杜市大泉町と富士河口湖町は同じような

山岳気候で標高も同程度ですが、大泉町の方が高い気温を記録します。

それは、富士河口湖町が、太平洋に近く、海岸性気候の影響を受ける為

降雨が多く年降雨量が1500ｍｍを越え、たいして大泉町は年降雨量が

1200ｍｍ程度となっています。

富士河口湖町は南西に富士山が聳える影響もあるかと思います。

大泉町は南面が開けており北に八ヶ岳があり日照時間も長いのが

特徴と云えます。

県全体としては「内陸気候」ですが、市街地は「盆地気候」で

リゾートエリアは主に「山岳気候」と区分されている様です。

先ほど気象庁の発表で、6月28日の全国地点最高気温は甲州市で

38.7℃午後3時28分という事でした。恐ろしいですね！

この様に自分の居住先を決める時、その地域の山岳の位置や

気候特性を過去に遡ってデータを調べ比較する事によって

今後の気候変動による影響を予測する必要があるかもしれません。

さて、今日のテーマについてですが、少しシリアスな

内容になりますがよろしくお付き合いください。

田舎暮らしで大切な人の死に向き合う

私事ですが、東京からこの八ヶ岳南麓に移住して15年、

田舎暮らしと云えるのかどうかは疑問ですが、家族共々

健康で明るく過ごす毎日ですが、私たちにとってここ数年、

辛く悲しい出来事も続いています、それは人との死別です。

勿論、日本社会全体が高齢化し多死社会に向かっている事も

大きな要因だと思います。田舎暮らし、都会の生活区別なく、

人との死別の差は無い事は、頭で理解していても、私たち

移住者にとって人との死別がどうしてここまで心に響くのか

コロナ禍を経て今も考えています。

大泉時代の恩人

発端は、移住した当時住んだ大泉町でお世話になった

ペンションを経営されていたご夫婦の、ご主人が

亡くなられた事でした。歩いてすぐの距離、子供の通学も

見守ってくださり、宿泊客用の自家製のパンをいつも

多めに焼いて分けて下さったり流石ペンションを

経営されるだけあって良く話を聞いて下さり、

相談にものって頂く事も多かった御主人、

ハンディキャップパーソンの方が利用し易い

宿泊施設として半分は社会貢献の為に営業されて

いたようです。私たち家族が清里に移ってからも

親しくして頂いたのでした、市の健康診断の日に

町体育館駐車場で車をインロックしてしまった時、

家のスペアキーを取りに行くため10ｋｍ近い道のりを

覚悟した時、偶然車で通りかかったご主人に

助けられた事もありました。今はもっとお礼を

伝えなかった事を悔やむ日々です。

 

清里ブームを駆けた老婦人の言葉

続いて、清里の賃貸住宅に移って、最初に仲良くなった

ななめ向かいの老婦人、清里ブームの頃、駅前で食堂を営業され

大変だった事、家族はお互い思いやって仲良くするのが大切と

口癖のように私たち夫婦に言い聞かせて下さいました。

アンデレ教会の礼拝に通う為、韮崎市の娘夫婦とは住まず、

一人で清里に在住していました。80代前半のお歳で、

足が不自由だった為、心配で毎日声を掛けたり、雪が積もると

除雪して凍結防止剤を撒いて、デイサービスに行く彼女を

見送ったりしました。その内に韮崎に住む娘さんご夫婦とも

親しくなり、野菜や山菜を頂いたり、お母さまのお話を

伺ったりするようになりました。一人暮らしで身体を

動かすことも大変だった様で、様子を見に行くと

仰向けにひっくり返ったまま動けなくなっていたり、

ストーブの火で洋服が焦げてしまっていたり、

ヒヤッとする事もありましたが、気丈だったご婦人でした。

眠る様にお亡くなりになった日、お別れのご挨拶に伺うと、

ご家族から色々お話をして下さったのですが清里ブームで休む間も

なく病院にも行けず亡くなったご主人のお話や、息子夫婦と

仲たがいして一時期疎遠になってしまった話、、私たちからは

「働き過ぎない事、家族はお互い思いやって仲良くいるのが大切」

口癖のように僕たちにくれたアドバイスをご家族に伝えると

号泣されてしまいました。

長くその場所に住むという事は、密度の違いはあれ、人間関係が

構築されます。東京に住んだ時期も人間関係は同じですが、、、

大きな違いがあります。田舎暮らしでは圧倒的に人口が少なく、

厳しい環境もある為、人間関係が濃密であるという事です。

普通は幾ら心配でも人の家を軒先から入って声を掛けたり

出来ないはず。でもある種図々しさが無いと手遅れになる事も、

田舎暮らしの失敗例として良く言われる人間関係の難しさかも

しれませんが、私たち家族にとっては、人生の先輩である周りの

方々から可愛がって頂き心配もして頂き、とても心強い日々を

送ってきました。　今では亡くなったご婦人の娘さんと親交が

あり、その後ご主人を亡くされて悲嘆にくれた時も励ましに

伺ったり、我が子の大学受験を相談したりと色々な交流があります。

 

飼い犬との別れに気力を失った野菜作りの名人

別れの辛さは人に限ってではありません。私の職場の近くに住む

老夫婦についてです、いつも朝夕と甲斐犬を散歩させているご主人と

挨拶を交わす内に、ご自身で育てている野菜を頂くようになったのですが、

トマトやピーマンも沢山の種類を栽培して、いつも詳しく説明して

下さって、妻は畑に連れて行っていただいて好きなだけ野菜を収穫

させて頂くほど、私たちを気にかけて下さっていたのですが、昨年の

秋ごろから余り姿を見なくなってしまい、、心配で娘さんに近況を

お伺いしたところ可愛がっていた甲斐犬が老衰でなくなってしまい

それ以来外出しなくなってしまったそうで、二人いた孫も、東京と

甲府にそれぞれ巣立ってしまい、生きがいを無くしてしまったそう

です。驚く程、野菜作りが上手なご主人、現役時代は通信衛星の

技術者で各国を渡り歩いていて、各国の首脳と食事をするほどの

人物で、道理で研究心が凄いはずだと感心しました、娘さん曰く

人嫌いで私たち夫婦に野菜をあげると聞いて耳を疑ったそうです。

そんなご主人が大切な甲斐犬と別れて生き甲斐を無くしてしまったと

聞いて、図々しく野菜をもらいに押しかけて、ご主人の様子を見に

行ったのです。未だに飼っていた相棒が噛んだ家具の傷を見て

泣いてしまうそうで、何と情の深い人だと辛くなってしまって、

よく考えると情が深いからこそ人と距離を置いていたんだなと

思ったのでした。　今、ご主人との交流を少しずつ増やして、

以前の様に散歩を楽しんでくれたらと思います。

我が家の一員だった兎との死別

私たち家族にも、移住してから、当時大泉駅の駅長さんから

生まれたばかりの仔兎を分けてもらい、家族の一員として

一緒に生活していたのですが、昨年の暮れに12歳で亡くなって

しまいました。最後の数カ月はどんどん老衰してしまい自分で

トイレに行けなくなってしまい。真ん中の娘が、毎回体を綺麗に

拭いて、少しでも身体を動かせるように場所を整えて世話を

していました、まるで人の介護の様に世話する娘を、私たち

夫婦は尊敬の念をもって見守っていました、よくよく考えると

娘が二歳の時に我が家に迎えた兎で仲良く一緒に遊んでいた

事を思い出したのです、先日自身の土地の草刈りをしていて、

二匹の野兎の子供に遭遇して、保護するか、親を待つか悩んだ

時に、我が家の亡くなった兎のお墓のすぐそばで見つけた仔兎

だけに、そっと見守り親が戻って連れて行くのを待ちました。

 

自然豊かな環境がもたらす生きることの自覚

この自然豊かな場所は、私たちにとって生と死について

身近に感じさせる環境です。私たちを取り巻く環境の中、

日常茶飯事に繰り返される殺人事件や死亡事故のニュースは、

どこか他人事のように繰り返される毎日ですが、自分の身近で

起こる死別は、相当のインパクトをもって私たちの生活に影を

落とします。けれどもそれは、とても大切な感情となって

私たちの心を慰撫し、いずれ逞しさを与えてくれます。

ここで育つ子供達だけでなく大人である私たちも命の尊さ

と自分が関わる全ての人の存在に敬意をもって生きる事を

教えてくれるのです。

長々とお付き合いありがとうございました。

 

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