田舎暮らしの手仕事~伝統工芸・大石紬座繰り体験~光輝くシルクの光沢

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こんにちは。富士五湖担当スタッフのなるたかです。いよいよ梅雨入りし、雨が降り続く毎日の始まりです。富士北麓地域は蒸し暑いというよりは肌寒い梅雨ですので、またもや暖炉のお世話になっております。というわけで今回は、アウトドアではなくインドア。河口湖北岸の大石地区に伝わる伝統工芸・大石紬の「座繰り」体験について書きたいと思います。

<もぐもぐ葉っぱを食べているのは…>

河口湖北岸と言えば、晴れている日には富士山と河口湖の両方を一度に見ることができ、河口湖駅からのアクセスも比較的良いので観光にはおすすめの地域です。その中のひとつ、大石地区にある「大石紬伝統工芸館」は、ラベンダーまつりで有名な大石公園の道路を挟んで反対側にあり、なんと入館料は無料です。中に入ると、紬の材料である絹糸を作ってくれるお蚕さんが元気に桑の葉っぱを食べていました。

五日で倍の大きさになる時期もあるとか

すぐ大きくなるお蚕さん

数日前に生まれた時は、小指の先ほどの大きさだったそうですが、数日で5センチほど、どんどん食べて大きくなって最終的にはに10センチ以上になるそうです。食欲旺盛で、桑の葉っぱはあげたらあげただけ食べてしまうとか。

他にも藍染製品や絹のネクタイや帽子・シャツ・扇子・小物などや、山梨県のもうひとつの伝統工芸品「印伝」の製品がずらりと並んだ店内の奥の方に、「染色室」という部屋があり、そこで今回の「座繰り体験」をしてきました。

<座繰りって?>

座繰りというのは、蚕が作った繭から糸を取り出す時に、紡績機を使うのではなく、いわゆる「糸車」を使って、手作業で糸を紡いでいくことです。今回は、その「糸車」の簡易的なものを手作りしてみましょうということで、先生のご指導のもと、作ってみました。

<糸車って手作りできるらしい!>

材料は、段ボール、牛乳パック、割りばし、ストロー、ガムテープといずれも簡単に手に入るものばかり。作り方も簡単です。これで糸を紡げるなんて、驚きです。

黒紙で絹糸がよく見える

組み立てたあと、横にセットされた水の入ったボウルの中に、繭を3個入れてもらい、糸紡ぎスタート。

いよいよ繭の登場

専用の道具でほぐしてから開始

最初の糸口を取り出すのはちょっとコツが必要なようで、先生にやっていただきました。

<くるくるくる…>

回る回るよ糸車。そして、繭からどんどん出てくる糸・糸・糸…。3つの繭から出たほそ~い糸を左手で軽く押さえて、右手で割りばしをつまんで糸車を回して牛乳パックに巻きつけていきます。

簡易ながらも立派に機能する糸車

これがまた、楽しい!! くるくる回していると、だんだん無心になってきます。疲れたら時々休憩を入れながら、ひたすら巻き続けます。糸を押さえている左手の感触が、するするーっとしてとにかく気持ちよいです。さすが、絹糸。でも、絹糸は頑丈なので、手が切れて血が出てしまうこともたまにあるそうです。

<生ものにつき取扱注意>

ちゃんといい繭を選んでいただいたおかげか、途中で糸が切れることもなく、どんどん巻けました。ちなみに、今回使った繭は、冷凍保存してあったものを熱湯でゆでたものを使っているそうです。乾燥した繭を使うこともあり、その場合もゆでて同様に使うそうです。一度ゆでた繭は、「生もの」扱いになるので、当日使う場合は特に夏場は冷蔵、後日続きをする場合はいったん冷凍して再度ゆでて使ってくださいと言われました。

この繭からなが~く続く絹糸が!

巻きながら聞いた話では、一つの繭から、長いものでは1キロメートルも糸がとれるとか!それだけ糸を吐き続けるお蚕さん、本当にすごいですね。

<繭の中から…>

巻き続けていると、だんだん白い繭が透き通ってきます。そして、中から登場するのが、お蚕さん。茶色いですね。中を切ったものの匂いをかいだ子供が「カレーみたいな匂い」と言っていましたが、本当でしょうか。

<器械を使ってみた>

10本ほどまとめて紡げる器械

座繰り体験の時間に余裕があるということで、糸紡ぎの器械も使わせていただきました。器械の横にセットされた鍋には、たくさんの繭がぷかぷか浮かんでいます。

からまらないのが不思議…

量もスピードも圧倒的!

<ついに、、、うっ!眩しい!見事な光沢!!>

そして器械のハンドルを回すと、糸がどんどん紡げていきます。こちらも、カラカラと音を立ててくるくる回すのが非常に楽しいです。 ほぼ終わりまで巻き続けたものが、こちら。見よ、この光沢! ザ・シルク!!

輝きはじめました!!

富士北麓地域には、富士吉田市でも織物が盛んです。地元のおばあに話を聞いてみると、昔お蚕さんをしていたという話もちらほら聞きます。大石紬は、養蚕・製糸・染織の全生産工程を分業せずひとつの家族やグループで一貫生産する、全国でもとても珍しい形をとっているそうです。でも、残念ながら手織りの技術は風前の灯。大石紬の織り手は、現在は3人で、みなさん80代とご高齢で、新しい絹織物を生産することはされていないそうです。現在、大石伝統工芸館の「大石紬手織工房」を主宰されている栗林さんは、2018年に東京から移住されてきた方で、大石地区の伝統工芸士の女性の元で生産工程を学び、現在も勉強と生産を行いながら、地元の人に伝統技術を伝承しようとされ、今回のような講座をひらいてくださっています。道具に限りがあるため、予約は少人数でとのことです。

今回は、伝統工芸・大石紬の座繰り体験について書きました。生産工房も見学できるということなので、今度訪れたときにはもっと時間に余裕を持って、ぜひ訪れてみたいです。

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