皆さまこんにちは、八ヶ岳エリア担当の山田です。
9月の終わり、暑かった夏の日々を思いながら日課になった草原の散歩、
少しずつですが変化を見せる自然の姿。草原は陽が昇ると、朝露に濡れる
牧草が水蒸気になってあたり一面に立ち込める湿気に咽せる朝もあり、
まだ少し夏の名残を思わせる清里高原。
これぞ秋の空を思わせる草原と青空
今朝の清里の空模様は雲が多く時折小雨気温は肌寒く14度、
火の気のない朝の我が家は建物が冷え切っているため、
我が家で一番小さな電気ヒーターを使用して朝の身支度を整える。
10月に入ると灯油ファンヒーターが必要になる朝が始まります。
台風17号が小笠原近海を北に進む影響からか八ヶ岳全域でもすっきりしない
天気、これから明日にかけて雨が目立つ予報。
霧の中を歩けば、牛に遭遇する事も。
朝の散歩から戻ってコーヒーを入れてPCに向かうこの時間。
毎月ブログで八ヶ岳エリアについて情報発信に取り組む機会を
得たのが2016年からなので今年で９年目になります。
これからもお付き合いよろしくお願い致します。
八ヶ岳界隈では一番美しい道ではないかな。
田舎暮らしの始まりは清里牧場通り
東京からこの八ヶ岳に移住して18年の月日と共にある
清里の自然に満ちた暮らしは清里牧場通りから
毎朝、犬を連れて歩く清里の道、私の住む清里の朝日ヶ丘地区は
牧場通りに面しており、国道141号線丘の公園交差点を始点に
個人経営の牧場が点在する牧場通りはかつて清泉寮線と呼ばれ
今現在はポールラッシュ通りと呼ばれています。清里オーべルージュ、
個人経営のプチホテル、キャンプ場、山梨県営自然学校を経て
JR小海線清里駅から小淵沢駅方面へ二つ目の踏切を超えて、
清里KEEP協会の広大な敷地を貫いて八ヶ岳南麓最高標高を走る
八ヶ岳横断道に接続するまでの景観の素晴らしい道路。
清里清泉寮の玄関 エックスのマークは キリスト教アンデレ同胞会のシンボル 通称アンデレクロス
清泉寮の母体
KEEP協会、正式には公益財団法人KEEP協会、清里の父と
呼ばれたポールラッシュ博士により創設されたキリスト教系の
施設です。KEEPとはKiyosato Educational Experiment project
（清里教育実験計画）の意味で戦後ポール・ラッシュ博士がGHQ
として日本の民主的復興の為に取り組んだ事業が基になっています。
「人類への奉仕」４つの理念を基に「食料」・「保健」・「信仰」・
「若者への希望」を目標に自然を通じて体験型学習や環境保護活動を
行う協会で山梨県から240haの土地の提供を受けて運営されています。
清里清泉寮前ポールラッシュ博士の鏡像、 博士がこだわった名峰富士山を望む場所に。
清里清泉寮前ポールラッシュ博士の銘板
なぜ清里にKEEP協会？
教育者であり伝道者あった彼は、関東大震災により
被災した東京・横浜YMCAの立て直しの為に日本に初来日、
その後も立教大学、早稲田大学で教鞭をとりながら、教育者・伝道者として
戦後ズタズタになった日本の復興に力を注ぐ事になったのです。
彼の恩師でもあるルドルフ・トライスラー博士の依頼により東京築地の
聖路加病院建築資金の募金集めのためにアメリカ財界を周り資金を集めた事も。
ありし日の清里清泉寮
日本を民主的に復興させるためには必要な事、それは日本人が自立して
暮らせる社会を作ること、それにはこれからの世代に教育と安全な食が
必要と考えたポール・ラッシュ博士は、農村の建て直しの第一歩
となる農村のモデルを設計する事に意欲的に取り組みました。
当時KEEPを創設するために土地を探していたポール・ラッシュ博士。
最初は富士山の近い富士吉田や河口湖周辺で探していたそうです。
施設用地の条件はたった一つ「名峰富士山が美しく見える場所」だったそう。
ご存知の通り清里は高標高と冬の厳しい寒さにより閑散とした貧しい村。
厳しい環境に適応できる様、酪農を中心とした高冷地農業をデザインしたのです。
今や清里酪農のシンボルジャジー牛
聖路加病院建築の時の人脈を活かし、高冷地に耐えうるジャジー牛の寄付、牧草地
開拓や冷寒地農業用の農耕機械ジョンデイアトラクターの寄付を集め、
KEEPを組織化して実践農場を整備していったのです。
こちらも清里開拓のシンボル、ジョンディア社トラクター
ポール・ラッシュ清里KEEPが醸す生活スタイル
先に挙げた「人類への奉仕」４つの理念を基に「食料」・「保健」・「信仰」・
「若者への希望」を基にキープ協会の広大な敷地には、清里聖アンデレ教会を
中心にKEEP農場（原型は農学校）、今はなくなってしまいましたが診療所、
聖ヨハネ保育園、青少年指導訓練所（キャンプ場）林間学校のような施設。
KEEP協会の実践農場、酪農研修やKEEPサポートプログラムも 頻繁に開催されています。
聖アンデレ協会、清里生活者の信仰の灯台
乳製品やパンを加工販売するためのファームショップ、教育者の研修のために
滞在する目的で建てられた宿泊施設が現在の清泉寮の原型となっています。
ちなみに清泉寮の住所は北杜市大泉町で清里ではありませんが、当時の
立教大学教授の高松孝治氏により「清里駅で降りて大泉村に来る」から
清泉寮と名付けられたそうです。
ポールラッシュ博士の過ごした住居（ポールラッシュ記念館）
敗戦後の日本に戻りマッカーサー元帥や吉田茂宰相、ロックフェラー氏や
財界に太い人脈を持った彼が清里の地で第100代カンタベリー大主教に見舞われ
この世を去ったとき私財は無く、万年筆と数着のスーツ、寝巻きと歯ブラシ、
そして聖書だけだったそうです。 厳しい清里の冬を何度も過ごす彼のベットに
掛けられた褪せたキルトのベットカバーを見ると、「清貧」を生きた人物なんだと、
改めて畏怖の念を感じます。
ポールラッシュ博士の過ごした住居（ポールラッシュ記念館）
清里の本当の美しさ
70年前のポール・ラッシュ博士の敬遠な信仰心と情熱、そして打ちひしがれ
戦争に振り回され希望も失せた人々に寄り添った彼の人生を思うとき、
この美しい清里の牧場の本当の美しさに心を打たれるのです。
執務中のポールラッシュ博士
「人の為に生き、人の為に喜ぶ」
私にとって八ヶ岳とはこの清里のことで、この場所でしか心の安らぎを
得ることができない大切な場所です。
通称KEEPの森、美しく整備され、70年守り続けられる森
長々とお付き合いありがとうございました。
これから紅葉の美しい八ヶ岳、皆さまも機会がございましたら
八ヶ岳高原に遊びにいらしてください。
秋を探して娘と森を散策
今年は山栗の当たり年！
それでは、また！！
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