新潟県村上市
新潟県村上市。
町おこしや町屋の再生で有名です。
10年前にそのプロジェクトをたった一人で始めたのが、村上伝承の鮭料理を製造販売するお店「味匠吉川」を経営される吉川(きっかわ)さんです。
この吉川さんと、那須高原の高級リゾートホテル「二期倶楽部」で行われた、ある経営セミナーで同室となりました。
この日、お誕生日だった吉川さんには、二期倶楽部から素敵なバースデーケーキがプレゼントされましたが、その夜、部屋でそのケーキを半分頂ながら、朝方まで吉川さんの話を聞くことが出来ました。
10年前高い志を立てて、たった一人でスタートした町おこしは苦難の連続だったそうです。
近代化すれば、保証金などのお金が入ってくる商店街は猛反対。
しかし、村上の古い町並みを残し、魅力ある町屋を再生しない限り、全国の他の町のように近代化した商店街はことごとく失敗したのと同じことになってしまうという危機感から、対抗勢力に立ち向かうのです。
対抗勢力の数は千倍、万倍という巨大な勢力でした。
中傷、非難、罵倒、脅迫にさらされながらも、1軒1軒を、1人ひとりを説得して、少しずつですが、わずかながらも運動は広まり、古き良き町屋らしさを取り戻していくのです。
反対していた市長がやっと賛成してくれたかと思えば、その市長も市町村合併の市長選で落選。
当選した市長は反対ということが何回も続いたそうです。
諦めることなくやり続けていく中で、反対の急先鋒だった力のある女性が、当然、賛同するという奇跡が起こります。
こうして苦節10年、ついに過半数以上の市民の賛同を得るまでになったのです。
今や、新潟県村上市は観光客が溢れる、魅力的な素敵な町に生まれ変わりました。
翌朝、吉川さんに誘われて、寒さに震えながら、二期倶楽部の広大な敷地の中を歩いて10分という露天風呂へ行きました。
風呂から出た後も、ここへ行こう、あそこへ行こうと、湯冷めするのも気にすることなく、広大な二期倶楽部の敷地にあるすべての施設を見て歩いたのです。
流石に、私は途中でリタイアしてホテルの部屋へ帰りました。
この人は、他の人にない、類まれな純粋さ、情熱、行動力を持っていることが分かりました。
なるほど、人との出会いは人間を成長させるということが分かります。
吉川さんという1人の人の立ち居振る舞いに触れて、私は未だかつてない衝撃を受けたのです。
私が今までいかに生ぬるい人生を送ってきたのか。
そして、いかに純粋でなく、どこかしら澱んでいたのか。
吉川さんの誕生日であったこの日は、私にとっても、私の人生の中で、また新しい誕生日の一つになりました。
生まれ変わったつもりで、高い志を持って、残こりの人生を走り抜きたいと思います。