一番の効用
ランチェスター戦略の要諦は、とにかく一番になることです。
一番と二番の差は、二番と百番の差より大きいのです。
どんな分野でもいいから、分野を絞ってでも、範囲を縮めてでも、とにかく一番になることが大事であることを強調しているのです。
このことを私はある体験を通して実感したことがあります。
私は小学校までは、いわゆるクラスで一番というものが何もありませんでした。
スポーツは万能だったのですが、かけっこをしても、水泳やスケートをしても二番や三番になれても、けして一番にはなれませんでした。
勉強はまったく駄目で、素行はいわゆる問題児というほど先生泣かせだったようです。
しかし、中学校に入学すると、クラスで一番のものを発見したのです。
それがじつは長距離走でした。
一番になれたという自信は凄いものです。
やがてクラスで一番が中学で一番となり、市で一番となり、県で一番を狙えるところまできたときに、不思議なことにあれほど駄目だった勉強の成績がぐんぐんと上昇したのです。
そしてあれほど悪かった素行が、まるで嘘のように、あたかも優等生のように良くなっていったのです。
今考えれば、幼い少年が一番になれるものを見つけたときに、どれほどの自信を持ち、そのことがすべてに良い影響を与えたのだと思います。
まさに、ランチェスター戦略を地で行くような少年時代だったのです。
ビジネスにおいても同じだと思います。
とにかく何かで一番になることです。
それが達成されれば、そこからすべてが変わるのです。
私はそのことを確信しています。