思いやり日本一
私の小学生時代はとにかく問題が多かったようです。
いわゆる親泣かせ、先生泣かせの悪戯っ子で、手が付けられないほどの悪ガキとして有名だったとか。
学校や近所で何か事件があったときは、真っ先に疑われたような、いわゆる問題児だったようなのです。
そのくせ、極度な恥ずかしがり屋で引っ込み思案、授業中も発言することは皆無に近く、いつもモジモジしていたことを覚えています。
授業参観日に母親が出席したときに、教室の目立つところに統計グラフがあり、我子がダントツで一番になっていたので驚いて良く見てみたら、忘れ物の回数というタイトルのグラフだったとか。
そんなわけで授業中に廊下に立たされることはあたりまえで、クラスメイトからもひんしゅくを買い仲間はずれにされたり、先生を怒らせて拳骨をくらったりで、今思い出しても恥ずかしくなるような小学生時代だったのです。
ですから4月から小学6年生になる長男が選挙の結果、生徒会長になることが決まったという知らせを受けたときには驚きを隠せませんでした。
私自身は生徒会長とは全く無縁な、もっと言えば、全く真逆な存在であったからです。
推薦されて立候補を決めたときに、少しだけアドバイスをしました。
これからの時代は「思いやり」や「親切」ということが、とても大切な時代になるということ。
そして何でも一番になることが重要で、しかもどうせやるなら「日本一」を目指す方が断然いいということ。
自分が当選したいと思ったり、結果を意識するのではなく、学校のためにベストを尽くすことだけを考えろということ。
そのアドバイスを生かしたのでしょう。
「思いやり日本一」
と書いた横断幕を作り選挙活動し、演説会ではアドバイス通り、「日本一」を大きな声でゆっくりと強調して演説したようでした。
思いやりということがいかに大切で素晴らしいことなのか、小学生にもわかるのでしょう。
そしてその大切なことで日本一を目指すということが、いかに誇れることであるかということも。
単身赴任のため子供に会えるのは月に一回か二回。
ずいぶん寂しい思いをさせてきたであろうし、妻にも相当な負担をかけてきたことが負債でした。
「パパ、アドバイスをありがとう」
その一言が私の宝物となりました。