皆さまこんにちは、八ヶ岳エリア現地コーディネーターの山田です。
10月は秋とは思えない陽気の日々が続き、紅葉にも影響するのではと
心配しておりましたが、少しばらつきはあるものの10月29日現在、
八ヶ岳山麓の標高が高い場所では、今見頃を迎えております。
私の住む清里は八ヶ岳南麓で居住可能な場所としてはほぼ北限に近い
標高1100mから1400mのエリアですが、草原を囲むようにある
防風林や県有林、そして八ヶ岳中信高原国定公園は美しく紅葉し
訪れる多くの観光客の目を楽しませています。
大自然での暮らしが与えてくれる感覚の変化
地方移住での良かったと思えることの一つは、やはり季節の変化を
いち早く敏感に感じることが出来る事、それは大自然の変化を真近かで
見るだけでなく、年月をかけて自分自身の感覚や五感が研ぎ澄まされる
からだと感じます。
例えば私の友人でキノコとジビエを趣味とする老人がいますが
山に連れて行ってもらいキノコを探す彼を見学させてもらうと
どの沢筋にどの種類のキノコがある事はもちろん、見た目は
同じでも食べれる種とそうでない種を数メートル離れた処から
瞬時に判断しています。勿論経験や蓄積された知識もあるでしょうが、
かなり離れた場所から一瞥で判断する姿を何度も見て、半信半疑で
側によってみるとやはり毒のある個体だったりします。
本人曰くキノコの出してる匂いで、とわらって云うのですが、
嘘か本当か判断付きません。
また別の知り合いは山で猟を何十年とやっていますが、
大きな見事な鹿に出逢って、絶好のタイミングでも仕留める事はせず
理由を尋ねると病気を患っているから駄目だそうで、グループの別の
射手がその事を知らず仕留めて捌くと内蔵(レバー)が寄生虫だらけ
だったそうで、後で撃たなかった知人にどうして病気だと判ったのか
聞いても、本人は説明しずらい、の一言でした。
我が家では、冬場は水道の水を飲まず、湧き水を汲んで飲料にしています。
残念なことに我が家の水道はダムから取水した水を浄水場で
飲料水化している為、水量の少なくなる冬場は水道水の飲料を避けています。
ある日お茶を飲んだ子供達がお茶に何か混じってると言い出したので
飲んでみるのですが、別段変わった点がなく首をかしげていると、
妻が湧き水の汲み置きが足りず浄水器でろ過した水道水を
足した事が分かりました。
八ヶ岳の日常生活
取り立てて食材や飲料に気を遣っているわけではない我が家でも、
長年の田舎生活で味覚や嗅覚が発達してくるのかもしれません。
日々庭に姿を現すリスや鹿、狐、野兎を見かけ冬には野鳥に餌を与えたり
散歩やハイキングで野草や樹々を眺め、川で綺麗な石を探す我が子は
もちろん今どきの子供達と変わらず、スマホでLINEを駆使し、
オンラインゲームで友達とコミュニケーションとったり、
塾に通う日常の中に、子供達のならではの自然との向き合い方や感じ方が
ある様に思います。私たち大人も気の合う仲間を招きあい食事を共にし
趣味や子育ての悩み、市政や祭事についての話題に盛り上がったり
季節ごとの楽しみをを分かち合ったり、日々をリラックスして過ごします。
「移住」と云う言葉の意味
自分自身が東京からここ八ヶ岳に移住し長い年月を経て現在の生活環境に
落ち着いた経験から思う「移住」の意味について考えると読んで字の如く
住む場所を移すと云う行動であり、行為だと思います。
WEBメディアや雑誌、TVでよく目にする「移住成功・失敗」の記事は、
「移住」に想いを描く層に羨望と不安を与える内容の偏りにうんざりします。
「移住」とはただの行動であり失敗も成功も無いという事が理解できていない
内容の薄いストーリーを参考にしないでほしいと切に思います。
「移住」とは、新しい場所で、新しい環境で、その社会(コミュニティ)や
地方文化、風習を実地経験しその場所で自分や家族が心地よく快適に住むことが
出来るかどうかを体験するキッカケでしかないと思います。
移住を経て定住するかどうかを判断する為の一過程で、成功も失敗も無いという事です。
自分や家族が今生活している環境に満足出来ずにより良い環境を求めて移動していく
これは生涯雇用と云う企業文化が崩れ形骸化している今、私たち個人がより良い
雇用条件を求めて転職を決める事とそれ程変わりません。
江戸時代に始まった職業の固定化、身分の分類化、そして当時の人口の
80パーセント以上占めたと云われる百姓を耕作農地に縛り付ける幕府の
政策により、現在に至るまで私たちの中に土地への定着思考をよしとする
意識が刷り込まれています。
価値観が多様化し自身のスキルや専門知識で仕事をする層が増えた今
「移住」イーコール「気分転換」程度の認識に近づいています。
慎重な人や経済的に余裕のある人は「二拠点居住」を実践しています。
ただ言葉がかわっただけで明治のころから、政財界の人は避暑で別荘を持ち
長期で静養していた事と、「二拠点居住」は何ら変わるところはないはずです。
「移住」・「二拠点居住」どちらも私たちの人生において生活の質の向上や
心の豊かさを与えてくれる選択肢の一つと云えます。
最後に
「移住」と云う言葉には、行き詰った現状を打開したり、ストレスフルな
日常生活から解放されたい、人に疲れ自然の身近で暮らしたい。
きっと色々な思いが詰まっている切なる言葉ではと思います。
是非、一歩を踏み出して下さい、案外ハードルは低いかもしれません。
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